職員インタビュー

樋口さん
児童指導員
池島寮 男子担当
  • 児童養護施設が子どもたちの将来の
  • 選択肢を広げられる場所であれるよう
  • 発信をしていきたい
児童養護施設で働こうと思った理由はなんですか?
両親が2人とも施設職員をしていたので、児童養護施設の存在や仕事内容は理解していました。特に親からすすめられたわけではないのですが、将来を考える中で、人のために何かすることで自分自身も高めていきたいという思いを持ち、それは福祉の仕事ではと大学の福祉学部に進学しました。 子どもの福祉に関わりたいと思ったのは、未来のある子どもの可能性を広げたかったから。社会福祉士の実習で、今働いている池島寮に行ったことも大きかったです。実習で感じた「やりがい」や施設の「あたたかさ」がイメージしていた以上で、またここに戻ってきたいと強く思うようになりました。
海の子学園に入った理由はなんですか?
実は、実習途中は、特に思い入れがあったわけではなかったんです。実習が終わるころ、当時の子どもたちが「また来てほしい」「ボランティアで来てくれることもできるで」と口々に言ってくれ、最終日には総出で見送ってくれました。この子どもたちの気持ちが本当に嬉しく、裏切ってはいけないと思いました。その後すぐボランティアとして通い、就職につながりました。 実習では、全員の子どもと満足に関われたわけではなく、最後まで返事もしてくれなかった子どももいました。この子と関係を続けていきたい、話せるようになりたいという心残りがあったことも、池島寮に通い続けた理由の一つです。 その子どもは、ボランティアをはじめて2~3カ月たったころから、少しずつ心を開いてくれるようになりました。実習で終わらず継続したからこそ結果も芽吹いた、続けることの価値を知れたことでさらに池島寮で働き続けたいという気持ちは強まりました。
仕事のやりがいはなんですか?
施設が存在し、職員である私たちがいて、子どもたちが健康で文化的な、当たり前の生活ができる、生きるか死ぬかという環境ににいた、何気ない毎日があたりまえでなかった子どもたちに、それを提供できている。そのことが誇りです。 仕事の中で特にやりがいを感じるのは、子どもたちに必要とされていることを実感する場面でしょうか。子どもたちは、時に職員に暴言を吐いたり暴力をふるったり、きつく当たることもあります。そんな時、僕は「その子にとって、ありのままでいられる相手」になれているんだなと感じるんです。もちろん、笑いあい、楽しいこと嬉しいことを共有できている時も感じますが、厳しい時こそ、この仕事の本当の意義にぶち当たっているな、この仕事をしていてよかったと。信頼できる人、環境があってこそ、人はありのままでいられると思います。
仕事で苦労するのはどんなことですか?
大変だと思うのは、大人同士の意識の刷り合わせでしょうか。施設での子育ては、チームとして、まわりの職員と手を取り合って進めていくことが大切ですが、職員も個性のある人間ですから、子育て感もそれぞれです。僕もこうだと思ったら主張をする方で、行き過ぎると輪を乱すことになるので、注意しています。池島寮ではお互いの意見を尊重しあい、協力する土壌があるので助かっています。 苦しんでいる子どもの姿は辛いです。虐待を受けてきた子は一筋縄ではいきません。そこに寄り添うのが職員の役割ですが、すぐに結果がついてくるものでもありません。気持ちは常に120%、でも気持ちだけでなく、きちんと専門性をもってアセスメントするようには意識し、その子に何が起こっているのか、何を求めているのか、その子自身のニーズをつかんで、関わってあげたいと思っています。
池島寮の良さはどんなところですか?
職員が、とにかく良い人が多いということ。お互いを思いやり、しんどい時も全力でフォローしてくれます。いっぱいいっぱいになって周りが見えなくなる職員がいたとしても、イライラせず互いに助け合えるので、働く上で安心感があります。 子ども目線では、アットホームでのびのびできる環境が整っていることでしょうか。ルールはもちろんありますが、大人が管理しやすいためでなく、あくまで子どもが生活しやすいことを目的にしています。昔からあったルールでも「なんでこんなルールが?」というものは見直してきました。子どもは大人以上に縛られていると感じているので、絶えず見直しをします。それにより、子どもが自分らしくいられる空間を作っていることが池島寮の良さだと思います。
これから挑戦したいことはありますか。
この仕事には、児童福祉法の枠があり、一職員の力ではどうにもならないことも多くあります。「この子にあった場所はどこだろう」「今の日本の福祉制度って、この子たちを救えているのかな」「これは福祉なのかな」と自分に問いかけながら、折り合いをつけながら、仕事をすることも少なくありません。児童養護施設が、子どもたちの将来の選択肢が広がる場所であれるよう、そのための発信をしていきたいという思いもあります。
施設で働くことに興味を持っている方に一言
児童養護施設は「自分らしさ」がいきる職場だと思います。だから「自分らしさ」を大切にしてほしいです。この仕事は結果が数値化できるものではないし、人間くささやその人らしさを出し、多様な価値観を認めることが、子どもたちの豊かな環境づくりにつながります。それは決してチームを大切にしないことでもありません。自分らしさを出しながらよい仕事をしていきましょう。
覚悟の瞬間 社会福祉法人海の子学園 城村威男